【アルバム】Frank Ocean〜Channel Orange〜

こんなアイテムにワクワクする。

良いものって、見つけたいと思って探しても出てこないのに、ふとした時に見つかったりしますよね。

この「Channel Orange」は、2013年のグラミー賞において最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム賞を獲得した知名度の高い一枚ですが、シズクが知ったのはつい最近です。

iCloudくんが提案してくれた偶然の出会いでしたが、聴けばきくほど強い意志を感じる洗練されたR&Bにどっぷり浸っていきました。

静かに現在をみつめさせてくれる心地よい耳ざわり

プレイボタンを押すたび毎回あるのが、「とにかく心地いい!!」という感覚。

派手さのないタイトなメロディとともに、Frankのスイートな声が耳の中に流れ込んできます。

なんだかこのアルバムを聴いてると、暖かい日差しや海、ラグジュアリーな部屋とか、彼の作る世界に沈み込めるんですよね。

おさらくシンプルにみえて、他にはない彼独特の構成や音遣いが、唯一無二の世界観を作り上げているんだと思います。

聴くことで、自分が今の中でゆったりと思慮にふける場をそこに与えてくれます。

現実が抱える課題を浮き彫りにする逆説的なアプローチ

ただしかし、一度歌詞の意味を紐解き始めると、このアルバムに散りばめられた本質的なメッセージ性が浮き彫りになってきます。

例えば、南国のビーチでバカンスを楽しんでいるような気持ちにさせてくれる「Sweet life」。

You’ve had a landscaper and a house keeper since you were born.
The sunshine always kept you warm.
So why see the world, when you got the beach.
Don’t know why see the world, when you got the beach.
The sweet life.

引用元:Frank Ocean -Sweet Life-

君はこんな幸せに溢れた場所で過ごしているのに、なんで恐ろしい世界をみようとするんだい??

そう語りかけてくるFrank。

先に紹介した「Super Rich Kids」では、金持ちの家に生まれて放蕩にふける一人の子供が、自分の生きる意味についての考えを淡々と述べています。

そのような問いかけは、今の時代を生きている我々が感じている、むしろ感じまいとしている「何か」を強烈に心へ浮かび上がらせます。

そしてその「何か」を伝えるために、無機質なラップや、友人母の息子へ向けた留守電、妙に明るいインタールードといった要素を恐ろしく巧妙に組み込んでいます。

余談ですがもしネイティブであれば、一聴してその歌詞が持つパワーに引き摺り込まれ、曲そのものの美しさを単純に感じられないかもしれないなぁ、と思います。

シズク
シズク

その意味で、日本人だからこそフラットに楽しめる視点もあるのかもしれませんね。

言葉に説得力を持たせるFrankの姿勢

また彼はその行動においても、多くの人々を惹きつけ、勇気を与えてくれます。

彼はこのアルバムが発売される前、当時の黒人R&B界での立場を考えると極めて重要な、性同一性障害のカミングアウトをしています。

また2017年には「Blonde」で再びグラミー賞へノミネートされたものの、選考メンバーや基準への抗議としてボイコットしています。

このような姿勢により、彼の音楽における言葉が一層私たちの心に大きく響いてくるのではないでしょうか。

さいごに

冒頭の話ですが、アイデアを探すという意味でいえば、例えば論文探しやシーズ・ニーズ探索などにおいても同じことを感じます。

良い情報って、見つようと思って探しても出てこないくせに、ふとしたときにひょっこり現れるものです。

ただそれは、「何か」を見つけようとしているからこそ不意に飛び込んでくるのです。

自分の好奇心、あるいは課題をみつけるアンテナを、いつでも張っておきたいなぁ、と。

そんな想いをそっと助けてくれるアルバムですね。

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