ブーゲンビリアの南風

遊休知美

飛行機を降りると、肌にまとわりつくような温かな風が迎えてくれた。

10月といえど、ここ宮崎では夏の名残がまだ色濃く漂っている。

到着ゲートを抜け、吹き抜けのホールに足を踏み入れる。

視線を上げると、色鮮やかなステンドグラスが陽光を浴びて輝いていた。

波を模した装飾の向こうには、宮崎のシンボルであるフェニックスが描かれている。

なるほど、ここは「フェニックスの街」なのだと実感する。

フェニックス、正式にはカナリーヤシは、1966年に宮崎県の木に指定され、以来、県内各地でその雄大な姿を目にすることができる。

「県の木フェニックス」

そんな思いを馳せながら、ひとまず外に出ることにした。

ドアが開くと、目の前には一本一本がしっかりと根を張ったヤシの木が並ぶ。

その向こうには、どこまでも青い空。

振り返れば、空港のエントランスにはブーゲンビリアが咲き誇っている。

このブーゲンビリア、実は1971年にシンガポール植物園から青島亜熱帯植物園に32品種が寄贈され、そこから宮崎全域に広がったという。

あおしまを歩こう 青島 ブーゲンビリア物語

「本当に日本なのか?」

そんな陳腐な問いが、ふと頭をよぎる。

もちろん日本に決まっているのだが、この土地にはどこか、時間の流れを緩やかにする空気がある。

南国の太陽と、ゆるやかな風。

都会の喧騒から離れ、心の隅に沈殿していたものが、少しずつ溶けていくような気がした。

出張という名目で来た旅だが、どうやら少し、寄り道をしてしまいそうだ。

せっかくだから、青島亜熱帯植物園で開催されている「ブーゲンコレクション」を訪れてみるのも悪くない。

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