COVID-19の恐怖による心への負担について、本当に自分は正しく対応できるのだろうか。
「Depression COVID-19」の検索ワードで文献を探してみると、以下のような記事を見つけました。
Suicide risk and prevention during the COVID-19 pandemic.
Lancet Psychiatry. 2020 Apr 21. pii: S2215-0366(20)30171-1.
著者らは今回のパンデミックにより自殺率が上昇すると予想しています。
感染症にかかることで現れる身体症状と同様に、目に見えないかたちで私たちを蝕む精神症状は、時として自身が予想するよりはるかに大きな悪影響を日々の生活にもたらします。
一方で著者らは、自殺率の上昇は努力により回避できるとも提言しています。
“…pandemic might be profound1 and there are suggestions that suicide rates will rise, although this is not inevitable. Suicide is likely to become a more pressing concern as the pandemic spreads and has longer-term effects on the general population, the economy, and vulnerable groups.”
引用元:Suicide risk and prevention during the COVID-19 pandemic.Lancet Psychiatry. 2020 Apr 21.
そして、パンデミックが拡がるにつれ自殺者が増え、人口(特に少数民族)や経済への影響が大きくなると考察しています。
この危機を回避するため著者らは、自殺へつながるリスク要因を洗い出し、それぞれの対処法を例示しています。
ここで挙げられたものはいずれも患者に対する周囲からの介入手段ですが、例えば自殺とまではいかなくても自身に何らかの精神的負担がかかった際に、どの機関へどのような助けを求めるべきか考える上で参考になるかと思います。
スペイン風邪やSARSのパンデミック時も、自殺者数が増えた
著者らはパンデミックによる自殺率の増大について、1918-19年のスペイン風邪による米国での事例や、2003年発生したコロナウイルスでの重症急性呼吸器症候群(SARS)による香港での高齢者における事例を参考文献として挙げています。
The impact of epidemic, war, prohibition and media on suicide: United States, 1910-1920.
Suicide Life Threat Behav. 1992 Summer;22(2):240-54.
A revisit on older adults suicides and Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS) epidemic in Hong Kong.
Int J Geriatr Psychiatry 2008; 23: 1231–38.
そして、今回のCOVID-19による自殺率への影響はより厳しいものであると予測しています。
しかしながら著者らは、情報通信手段が発達した現代だからこそ可能となった、電話やPCによるストレス緩和のための介入手段があると提言しています。
全ての人々に対する介入手段と、高リスクの人々に対する介入手段がある
それでは、どのような自殺誘発リスクがあり、またそれに対する介入手段があるのでしょうか。
著者らは全人口を対象とした不特定多数が抱える自殺要因と、高い自殺リスクをもつ人々が抱える自殺要因に分類しました。
前者には「精神疾患」「自殺経験」、後者には「金銭面での負担」「家庭内暴力」「アルコール依存」「孤立化」「自殺手段へのアクセス」「メディア」が挙げられています。
不特定多数が抱える自殺要因のうち、金銭面での負担については容易に想像がつきますね。
またパンデミックによる家庭内暴力やアルコール依存についても間接的に自殺リスクを増大するとのことです。最近メディアでも、これら要因によるストレスが離婚はじめ重大な問題へつながるといった報道がなされていますね。
興味深いことに、メディア自体も恐怖を煽る自殺リスクの元となりうる要因と位置付けられています。
これら4つの要因および「自殺手段へのアクセス」については、政府による法あるいは緊急措置の整備や、販売者あるいはメディアの適切な方法といった、機関による大規模な対策が求められると著者らは考察しています。
精神疾患や自殺経験、孤立化については積極的な対処がカギ
精神疾患や自殺経験、または罹患や外出制限などによる孤立化も、自殺を引き起こす要因として示されています。
精神面で何らかの問題を抱えた人々の対応策としては、やはりメンタルケアを提供する医療機関や法人を頼りにするのが良さそうですね。
精神疾患に馴染みのない方の中には、これら機関を利用することに躊躇いがある方もいらっしゃると存じます。
しかしながら、業務あるいは個人的に交友のある知人の他に、心理学に造詣のある第三者からアドバイスしてもらうことは、しばしば強力な悩みの解決手段となります。
シズクも仕事で悩んでいた際に、臨床心理士のカウンセリングを受け心が軽くなりました。
今はオンラインやメールベースなど気軽にカウンセリングを受ける方法が多く存在しています。しんどい時は気負いせず活用していただきたいですね!
孤立化については、既に身をもってストレスを感じている方も多いのではないでしょうか。人と交流がない状態が続くというのは、思っている以上に心的負担が大きいものですよね。
これに対する対処法として医療機関や法人の他に、SNSやオンラインデバイスなどを通じて家族や友達との繋がりを保つことが重要な対策であると位置付けています。
ある意味当たり前ではあるのですが、最も障壁の低い方法ではないかと思います。
また孤立しないことを目的としたコミュニティを形成することも方法の一つです。今なら「あつまれどうぶつの森」「マインクラフト」といったオンライン対応ゲームを通じて、新たな友達と仲良くなることもできますね。
「あつ森」面白いって評判だよね!
僕は発売初日にソフトを購入できたんだけど、肝心のNintendo Switch本体を手に入れられていないスイッチ難民だよ…泣
さらにスマホアプリのなかにも、無料で登録でき自分の趣味に関連した友達がつくれるソシャゲやオンラインポータルがたくさんあります。
シズクは最近、自分で短歌をつくって共有できる「うたよみん」というアプリにハマっています。期間ごとにみんなで作品を評価しあえる「お題」もあったりして楽しいですね。
好きな分野で自分のアイデアを主体的にみんなで共有できるのは、良いストレス解消法のひとつですね。
ニックネームで始められるものも多く、よい気分転換になるのではないでしょうか。
これら精神的要因や孤独によるストレスについては、私たち自身から積極的にアクセスできるリスク緩和策があるということですね。
自殺リスクに膨れ上がる前に、対処できるストレスについては早めに行動することを心がけた方が良いですね。
さいごに
日々流れてくるCOVID-19の情報を受け、無闇に恐怖を感じ右往左往すべきではありません。
しかしながら一方で、非常事態からストレスを無視し続けることは、知らず知らずのうちに命の危険という大きなリスクへとつながります。
自身の心の状態をしっかりと把握しつつ、いざという時に冷静に対処できるよう自分にとって適切な緩和策を考えておきましょう。
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