旅の雫

遊休知美

御在所ロープウェイの夕景──澄んだ空気とホットココア

ロープウェイのキャビンが静かに揺れる。眼下には山肌に張りつくような木々の影が長く伸び、遠く伊勢湾のほうまで淡く霞んでいる...
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ドバイ、光と影の狭間で

ブルジュ・ハリファを見上げた瞬間、思わず足がすくんだ。まるで天空へと突き刺さる巨大な槍。超高層ビルには慣れているはずだっ...
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月とオルゴールの館:嵐山で出会った奇妙な紳士

嵐山の竹林を抜け、観光客が集う賑やかな通りから一本外れたところに、その館はあった。ひっそりと佇むその場所を訪れたのは、ま...
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記憶の湖にうつるもの

ホテルの送迎バスに乗り込んだのは、松山駅からほど近い場所だった。温泉街へと向かう車内には、これからの滞在を楽しみにしてい...
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新幹線での儀式

東京の喧騒を後にし、東海道新幹線「のぞみ7号」に乗り込んだのは、夕方が近づく頃だった。仕事の資料を詰め込んだ鞄の重さが、...
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ガラタ塔のふもとで、果物ジュースに誘われて

イスタンブールは、その混沌が美しい街だ。アジアとヨーロッパの交差点というだけでなく、時間と空間の境界を超えた風景が広がっ...
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湖畔の木々の影

目が覚めると、木の香りがふわりと鼻腔をくすぐった。壁も天井も、すべてが温かみのある木材で覆われた空間だ。カーテンを開ける...
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Klosterfrau Bronchial-Tropfen: ドイツ旅行で出会った魔法の一滴

ある秋にミュンヘンを旅行していた折、思いもよらぬ体調不良に見舞われた。古都の街並みを散策していた時、突如として襲ってきた...
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夢舞台

瀬戸内海の穏やかな波に囲まれた淡路島は、都会の喧騒から離れ、静かに時が流れる場所だ。神戸から明石海峡大橋を渡ると、眼前に...
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宍戸湖に伝わる薬畑

宍戸湖を訪れたのは、初秋の空が澄み渡るある日のことだった。湖面を囲む緑の草木がやわらかな風に揺れ、遠くの丘陵と青空が、ど...